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摂食障害(拒食症・過食症)治療における患者さんの3つの心(6)3つの心を理解することで、治療の関わり方が分かる



では、摂食障害(拒食症・過食症)において、
この3つの自分をどのように捉え、
治療に生かしていけばよいのでしょうか。

先程の例に挙げましたように、
標準体重の70%を割るくらいの低体重の状態の患者さんの心を理解するには、
概ね「本当の自分」と「病気の自分」のこの二つの心と
その葛藤を意識しておけば、どのように関わり、
治療を進めていけばよいかがわかります。

一方、体重が徐々に回復してくるときにその患者さんをよく見ていると、
その心の中に「偽りの自分」の心の問題があるのが見えてきます。

明らかに「病気の自分」による病的な思考とは違った心の問題です。
これは見ようとしない人には見えません。
病気の症状だけを見るのではなく、その人のパーソナリティの問題も
併せて捉える目を持って、初めて見えてくるものです。

体重は増えてきたけれども表情は冴えず何かすっきりしない、
すぐに再発を起こすといった場合は、
この「偽りの自分」の心の問題が残っているためであります。
「偽りの自分」の心が摂食障害発症の温床となっているのです。

例えば、自分を否定しがちな人は、いつも他人の目を気にして、
他人から否定されるのを恐れます。
本当はそうありたくない「偽りの自分」です。

そのような人は、しばしば「いい子」を演ずることで自己防衛します。
本当の自分の思いを抑え込んでしまい、ストレスを溜め込み、
そのストレスを抱え込みきれなくなると、病気などを発症します。

この場合まず、「こんなことを言えば、相手に嫌われるんじゃないかな」と思い、
本当の自分の思いを正直に語れないことが「偽りの自分」であること、
ストレスを溜め込む原因であることを気付いてもらうことです。
その上で「正直に自分の思いを語る」ということを課題として提示します。

ただ実際にいざ話す場面になると、
いくら課題だと言われようとも、なかなか自分の都合の悪いことは
正直に語れないものです。そんなときには、もっと具体的に、
「診察のときには必ず、自分にとって都合の悪いことから話すように」
と課題を与えます。

正直に語れたときには、
どのような問題となるような内容であったとしても、
まずは受け入れることです。

もちろん、その内容が肯定できないものであれば、
「確かにそれはあかんなあ」と正直に伝えることです。
けれども、それでその人を否定するのではなく、
「でも、今日はちゃんと話せたね。それだけで十二分にOKやな」
と大いに褒めるのです。

正直にダメなものはダメと言ってもらいながら、
ダメな部分も含めてどのような自分でも受け入れてくれている
という体験をすると、徐々に「正直に自分の思いを語る」
ということができるようになってきます。


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