トップページに戻る

摂食障害(拒食症・過食症)治療における患者さんの3つの心(5)患者さんの心の中には 「本当の自分」「偽りの自分」「病気の自分」という3つの自分がある



このように摂食障害の患者さんの心の中には
「本当の自分」「偽りの自分」「病気の自分」という3つの自分があります。

摂食障害(拒食症・過食症)の治療を成功させるには、
患者さんの心を知ることが必要です。
・ ・・ほんと必要です。その人の症状だけを見て、
その心を理解せずに治療しようとしても決して成功しません・・・そして、
その心を知るには、この3つの心があるということを知ることが
最も大事なポイントです。

低体重をきたし、重症と思われる摂食障害の患者さんと接すると、
よくこんなことがあります。

治療者が「じゃあ、今日からきちんと食べて頑張ってね」と言うと、
本人はにこやかな笑みを浮かべて、「はい、わかりました」と答えます。
それからはご飯を食べるようになる。けれども、体重が増えない。
「おかしいな?」と思っていると、ある日、密かにご飯を捨てていたのがわかる。

このとき、摂食障害の患者さんの心を知らないと、
「診察ではちゃんと返事をしていたのに、騙された!」「裏切られた!」
と思います。

そして、ただでさえ自己評価の低さが
その発症の大きな要因となっている本人に対して、
「どうして嘘をついたんだ。どうして隠れてそんなことをしたんだ!」
といったような言葉を発して責め、より一層自己評価を低めて、
追い詰めていくような関わりを持ってしまうことがあります。

そのようなとき、患者さんの心に「本当の自分」の心と
「病気の自分」の心があると知っていると、
「『きちんと頑張って食べよう』と思ったのは
「本当の自分」の気持ちなんだろう。
けれども、それだけではなく、
『それを全部食べてしまうとどんどん太ってしまうぞ。
だから、何とか食べないようにしないと』という
「病気の自分」の気持ちもあるはずだ」とわかります。

さらに、その両方の気持ちを比べてみると、
「病気の自分」の心は「本当の自分」の心を圧倒しています。
ですから、「『病気の自分』はその本人の行動を支配して、
何とかして治療者らを欺き、病的な行動を実現しようとするだろう」
ということもわかります。

この「本当の自分」と「病気の自分」という心の原理を理解していれば、
患者さんに病的な行動をとられても、決して騙されたとは思いません。
もし、そのような病的な行動をとられたとしても、
それは予見されていることですから動揺もしません。

むしろ、そのような病的な行動を発見されたときに
本人が抱く自己嫌悪感をどのように拭い去り、
どのように安心感を与えていくかというような治療的な関わりを考え、
実践することが出来ます。

さらにこうしたこともできるでしょう。
それは、本人が「頑張ります」と言ったときに、
「けれど、本当にできる?本当は難しいでしょう?」と
もう一歩踏み込んだ問いかけをすることです。

それによって、あらかじめ病的な行動を防ぎ、
「この人は私の心を理解してくれているんだ」という安心感を与えることも
可能になります。

このように3つの自分うち、2つの自分を知っているだけでも
その治療は大きく変わってきます。

★最初の記事から読む

★次の記事を読む


この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのTrackBack URL
http://blog.seesaa.jp/tb/12547012
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。