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摂食障害(拒食症・過食症)治療における医療者の絶望と希望(2)忘れられない患者さん




そんな私が研修医を終えて一般の勤務医になると、
主に診始めたのが思春期の患者さん達でした。

もちろん摂食障害の患者さん達が数多くいました。
その中でも、私にはどうしても忘れられない患者さんがいます。

それはある拒食症に陥っていた患者さんです。
もう今にも折れそうなくらい細い手足を見ながら、
「この浮き上がった鎖骨や肋骨が美しいでしょ」などと言い、
私の診察を求めて通院してくれていました。

どのように関わっていいか、
本当の意味でよくわかっていなかった私は自分なりに試行錯誤しながら
その方にいろいろな角度から話しかけ、治療を試みました。

しかし、何年経ってもよくならず、家族らへの憎しみを語るその方に、
私はついに「悪いけど、僕にはもうどうしようもできひんわ」
という言葉を投げかけました。

その言葉にその方は涙ぐみ、去っていきました。

決して言ってはならない一言、
患者さんの持っていた一縷の希望を断ち、絶望を与えてしまった一言でした。
そんな言葉を言ってしまうほどに、この私自身も行き詰まり、
方向性が見えないでいたのです。
この挫折は大きな悔恨とともに、私の心に強く刻まれました。


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